2025年5月24日、NDロードスターの車高調とステアリングを交換しました。車高調はド定番のTEIN FLEX Z(テイン フレックスZ)、ステアリングはNARDI(ナルディ) のスポーツ タイプラリー。ボスにはWorks Bell RAPFIX2(ワークスベル ラフィックス2)を使用してステアリングを脱着できるようにしました。それぞれの初期インプレッションやメリット、デメリットなどをお伝えします。
かかった費用
今回の車高調、ステアリング、ラフィックス2の取り付けは、アライメントテスターを持っている大手の某量販店にお願いしてしまいました。
ステアリング本体は前の車から使っていたものを持ち込んだので、その他の部品代+工賃は約20万円。
ネットで調べたり相見積もりをとったりした結果、安くやってもらえるお店にお願いしたんですが、物価高騰は車の社外パーツも例外でなく、車高調は感覚的に2〜3万円は高くなってますね。
ステアリング本体は持ち込んだのでお金はかかっていませんが、買った時は確か3万円しなかったような。今では同じものが5万円ぐらいと倍近い金額で驚きました。
車高調 TEIN FLEX Z
パーツ概要
定番すぎてもはや書くことがありませんが、全長調整式のフルタップ、減衰力調整は16段、NDロードスター用のバネレートは前が49.0N/mm(5.0kgf/mm)、後が29.4N/mm(3.0kgf/mm)です。
公式ページ: TEIN FLEX Z
追加したオプションはリアの減衰力調整ダイヤルの延長ケーブルだけです。3000円ぐらい。NDロードスターの場合、トランク内の内張に隙間があるので切ったり穴を開けたりの加工なしで取り付けられます。
公式ページ: フレキシブルコントローラー

スタビリンクについてはお店と相談した結果、調整式やショートスタビリンクなどは無しにしました。メーカーにも聞いてもらいましたが、40mmぐらいまでのダウンであればノーマルで問題なしとのことです。
車高調を導入しようと思った理由は、まずはなんと言っても見た目。フェンダーアーチとタイヤの隙間、気になりますよね。そして高速道路を走った時、ロードスターの売りである「ヒラヒラ感」が「フラフラ感」になってしまって怖い。決め手となったのはサーキット走行でロールが大きすぎて話にならないほど、気持ち良く走れなかったことです。
インプレッション
「FLEX Zにしたら純正より乗り心地が良くなった」というレビューを散見しますが、あれは嘘だ笑。
バネレートが上がって、全長調整式とはいえストロークが減って乗り心地が良くなるわけがありません。
「乗り心地が良い」の定義が人によるのかもしれないが、16段ある減衰力調整を真ん中より柔らかい側の10段戻しでも、純正ではほとんど感じなかったゴツゴツ感は強くなりました。が、跳ねるほどではありません。

そもそも減衰力調整は硬さを変えるのではなく、バネが伸び縮みするスピードを調整するものだからね。
私はサーキットで感じた大きすぎるロールを抑えたい、ドリフトが始めにくく無理やり始めても止まってしまう、高速道路ではヒラヒラ感がフラフラ感になって怖いというのを何とかしたく、純正の良いところを捨ててでも改善するのを目的として導入したので納得しています。
純正足はかなりよくできています。サーキット走行をせず、一般道や高速道路での動きに特に不満がないなら純正のまま乗ることを強くオススメします。
どうしてもフェンダーアーチとタイヤの隙間が気になるなら、車高調ではなくダウンサスへの変更に留めるべきでしょう。ほんのちょっとバネレートが上がって乗り味が硬くなり、バネが短くなる分、縮み側のストロークが減り伸び側が増えます。ストロークのバランスが変わったことは一般道では感じられないレベルと思います。
メリット
一般道
純正と比べてかなりしっかりした感触になります。ちょっとしたカーブや曲がり角での動きがシャープになります。
スポーティーカーがスポーツカーになった感じ。ちょっと何言ってるか分かりませんが、とにかくシャキッとします。
高速道路
純正で感じたフラフラ感は見事に改善しました。以前は80km/h程度の直線が怖くて、ハンドルにしがみつくように運転してましたからね。
変更後はハンドルに手を添えるだけで肩の力を抜いて運転できるようになりました。
同時にアライメント調整をしたのでそれが効いている可能性もありますが、一度も足周りをぶつけていないし、調整前の数値もそれほど大きくズレていませんでした。
サーキット
まだ走っていないので未確認です。サーキット走行時のレビューは機会があればまた後日。
デメリット
一般道
道路の継ぎ目、工事跡、マンホールなどでかなりゴツゴツ来ます。5キロ3キロという低いバネレートからイメージするよりずっと硬いです。一般道ではね。
ほとんど一般道でしか走らない人にはオススメできません。乗り心地は確実に悪くなります。
高速道路
路面が荒れている区間や継ぎ目などでやや跳ねるような挙動を感じるのがデメリットと言えるかもしれませんが、実際に跳ねるわけではないし不快なほどではありません。フラットな乗り心地を求めるならデメリットですね。
でもそういう人ってロードスターを選ぶのかな?
サーキット
まだ走っていないので想像ですが、多分バネレートが足りないですね。私は普段乗りで使っているので、ここは妥協しています。
ステアリングボス WorksBell RAPFIX 2
パーツ概要
車検対応でステアリングが取り外せるようになるボス。他社から安い類似品がいくつか販売されていますが、これを選んでおけば間違いないでしょう。
公式ページ: RAPFIX II (2)
RAPFIX2自体の厚みが結構あるので、ショートボスとの組み合わせで取り付けるのが一般的です。普通のボスだとステアリングが手前に来すぎますよ。
公式ページ: RAPFIX専用ショートボスキット
ステアリングスイッチの移植はしませんでした。この3年で押したのは初期に何度か試しただけ。平均燃費で固定していたので不要と判断しました。移植キットはワークスベルのものも他社のものも3万円前後と高いですからね。
公式ページ: SRD KIT(MAZDA)
(執筆時点でメーカー欠品中のため販売ページへのリンクを作成できませんでした)
セキュリティを高めるキーロックシステムも、あった方が良いんでしょうが、鍵を増やしたくないし、収納の少ないロードスターでは外した時に邪魔になりそうだし、値段も高いので一旦保留。なしで運用してみます。
公式ページ: RAPFIX キーロックシステム+e


取り外しがしやすくなるフリッパーも付けませんでした。なんかカッコ悪いし重そうだし高いし。溝が合わないと外れない仕組みではあるけど、走行中に外れるリスクは増えそう。取り付けに使うイモネジでRAPFIX本体に傷か付くなんて話も聞きます。フリッパーがなくてもすぐに慣れて簡単に外せるようになりますよ。
公式ページ: RAPFIX フリッパー


インプレッション
ウワサ通りガタは一切なく、高級感、重量感もあります。脱着もすぐに慣れて簡単。満足度は高いです。
ショートボスとの組み合わせでも、想像より手前にステアリングが来るので注意が必要です。
メリット
運転席が広々
ステアリングを外すと、運転席がかなり広く感じます。こんなに広かったんだ・・・と。
掃除がしやすくなったり、昼寝がしやすくなったり、弁当が食べやすくなったり笑。
とにかく走ってない時には不要な部品なので、取り外しできるのは良いことではないでしょうか。
乗降性の向上
ロードスターに限らず、ほとんどの2ドアクーペはドアが大きく乗降時にぶつけないよう気をつかいますよね。
また、シートもホールド性が高いものが多く、脇や太もものサポートが大きく張り出していて乗降時には邪魔になります。
大きいドアをぶつけないように小さく開け、それ以上開かないようにおさえながらステアリングを避け、太もものサポートを乗り越え、サイドサポートを避けて乗降する必要があります。身体をS字にクネクネ曲げて乗降する姿は、側から見たらスマートじゃないでしょうね。
さらにロードスターの場合、ドアのウインドウの上側が車内側にすぼまった形になっているため、ドアを小さく開けた状態では足からギリギリ抜け出せても、最後に頭や顔がガラスにぶつかるんですよね。ガラスを避けきれなくて何回メガネを吹っ飛ばしたことか・・・。
盗難対策
キーロックシステムなしで様子を見ていますが、かなり効果あるでしょうね。ハンドルロックやホイールロックは無理やり外せるかもしれませんが、ハンドルがないというのは車内を覗いた瞬間にわかるだろうし、泥棒からしたらインパクトあると思います。
しかしながら、ラフィックスのソケットは単品で買えます。ソケットとプラグの組み合わせに決まりはありません。鍵と鍵穴のような関係にないので、ラフィックス2を使っている別の車からステアリングを持ってきたら付いてしまいます。
車検対応
ラフィックスには車検対応の証明書が同梱されています。が、実際にディーラーで車検をお願いしたところ、証明書の提示を求められることはなく、あっさり車検を通りました。
デメリット
乗降時に掴む場所がなくなる
邪魔だ邪魔だと言いながら、乗降時に体重かけて掴んでいることがあります。それができなくなるので、乗降のコツのようなものは新たに慣れる必要がでてきます。
乗降時にぶつけそう
ラフィックスは剛性感がある分、重くて硬いです。ステアリング側のソケットは金属剥き出しです。バリはないので人が触っても怪我をするようなことはありませんが、車のボディにぶつけたら凹むだろうし、ガラスにぶつけたら簡単に割ってしまいそうです。
乗降時には自分の車だけではなく、近隣の車や人や物にぶつけないよう、細心の注意が必要です。
ドライビングポジションが決まらない
これが一番のデメリットかもしれません。テレスコピックを一番奥にしてもステアリングが大幅に手前に来ます。
窮屈になるので、足の長さが許す限りシートを下げたり倒したりする方向に調整します。それでもステアリングを回したとき、肘がシートのサイドサポートに当たることがあります。
上下方向に調整するチルトも、ステアリングコラムとステアリングの間隔が伸びた分、1ノッチで動く振り幅が大きくなります。純正では絶妙にしっくりくる高さがあったのですが、そこに合わなくなりました。
バケットシートの導入も視野に入れて、トータルでドライビングポジションを調整する必要がありそうです。
それでも解決するとは限らないし、しばらく悩むことになりそうです。
ウインカーとワイパーのレバーが遠くなる
これは自分としてはメリットなのですが、一般的にはデメリットとされていますね。ステアリングから手を離さずレバーを操作するのが難しくなります。
ドリフトやジムカーナで走行中、レバーに手が当たってウインカーやワイパーが暴発するの恥ずかしいじゃないですか笑。あれを防げます。
外したステアリングの行方
車内でステアリングを外したとき、一人なら助手席に置けるのですが、二人乗っている場合は置き場所がなくなります。
そこで、ルームミラーにぶら下げるフックが必要になります。自作する人もいるようですが、やっぱりどうも安っぽくなりがちなので、1000円ちょっとの安いやつを買ってみました。
家に持ち帰ったハンドルの置き場も考えないといけません。とりあえず玄関の靴箱の上に無造作に置いていますが、ゆくゆくはどこかにディスプレイ的にぶら下げたいですね。あまり細いフックだとステアリングの革に跡がつきそうだ、とか色々考えちゃいますね。
ステアリングホイール NARDI SPORTS タイプラリー
パーツ概要
定番中の定番、ナルディのステアリングホイールです。もはや説明などいらないでしょう。
公式ページ: NARDI SPORTS タイプラリー ブラックパンチングレザー ブラックスポーク 33φ


今時はエアバックを残してグリップ部分だけ交換するのが定番なのかもしれませんが、あれってただただ太くなったり気持ち悪いほどゴツゴツしたデザインだったり、丸くなかったりで、何のために交換するのか私は理解できません。
社外ステアリングと言ったらナルディかモモの2択と言っても過言ではないかと思いますが、昔っからモモよりナルディの、それもクラシック系の方が好きです。握りが均一で細目、まん丸で取り付け位置が偏心していないのが社外ステアリングに求める絶対条件なので。
モモは全体的に太めで、10時10分あたりが膨らんでいたり、偏心しているものもあってあまり好きではありません。見た目のデザインも個人的には刺さるものがありません。
ロードスターのステアリングは、純正の中では径は小さめでグリップも細く、偏心も気にならないレベル。当初はかなり良いと思っていました。でも慣れてくるとやっぱり径が大きく感じはじめて、10時10分付近の膨らみが邪魔に感じてきてしまいました。
これも高くなってますね〜。私が買った時は3万円前後だったと思うんですが、今は5万円ぐらいします。超高級品だ・・・。
インプレッション
以前から好きで使いまわしているものなので良いのはわかっていたのですが、NDロードスターにつけてみて思ったのは、やはりこの車には33φぐらいの径がちょうど良いなと。純正も比較的小径ではありますが、やはりちょっと大きい。
あと、赤ステッチなのですが、これは以前乗っていたトヨタ86(ZN6前期)の内装に合わせて選んだものです。86は後期でグレーステッチに変わりましたね。NDロードスターは初期が赤ステッチで、私が乗っている2022年製、ND1最終型は全体的にグレーステッチなんです。よって、赤ステッチのステアリングをつけたらちょっと浮いちゃってる感はあります。ナルディクラシックならグレーステッチなんですよね。うーん悩ましい。
メリット
偏心していない
ほとんどの純正ステアリングが偏心しているの、気づいてましたか?
取り付け位置がほんの少し下にオフセットされていて、軸がブレたような回り方をします。
おそらく片手で上を握ってグイッと回したときに大きく回るように作っているのかなと思いますが、ドリフト中にシュルシュルハンドルしたとき、クルクルというよりブリンブリン回って違和感があるんですよ。
軽い
エアバッグやスイッチがなくなることで、ステアリングホイール全体が軽くなります。軽くなった結果、慣性が減るので軽く回ってビシッと止まります。この感覚は純正ホイールでは味わえません。
デメリット
軽すぎる?
メリットの裏返しになりますが、軽いが故に路面の凹凸や振動がモロにステアリングに伝わってきます。
いわゆる「しっとり感」はなくなります。リニアでリジッドでドライな感じになりますね。だがそれが良い。
純正は重い分、そこで吸収されて手までは伝わってきていなかったんですね。おそらくそこまで計算の上でデザインや重量を決めているんでしょうね。
エアバッグがなくなる
以前はエアバッグが付いている車は任意保険が安くなる特約があったりしましたが、今時は標準装備が当たり前になったので、そのような特約はほぼなくなったようです。エアバッグがなくなることで補償内容や保険料が変わらないことを契約している保険会社に確認してください。
保険のことは抜きにして、エアバッグがなくなることについては覚悟の上で自己責任になります。
まとめ
取り急ぎ写真なしでガーッと書きましたが参考になったでしょうか。今後、良い写真が撮れたら適宜差し込みたいと考えています。
今回の部品交換(あえてチューニングとは言わない)、個人的には大変満足しています。ディーラーへの入庫も車検もOKでした。
ただ、完全ノーマルのNDロードスターはかなり良いです。社外部品への交換は快適性や安全性とのトレードオフが必ず発生します。ある程度の覚悟は必要です。
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